
伊DTT、Luvataと1850万米ドル相当の超電導線調達契約を締結
(2021年4月20日)米国コネチカット州ウォーターベリーのLuvata Waterbury社は、ダイバータ・トカマク・テスト(Divertor Tokamak Test;DTT)施設向けに、クロムメッキのNb3Sn線と、クロムメッキ銅線とニッケルメッキ銅線を供給する2つの契約(総額1850万米ドル)を獲得したことを発表しました。 Luvata製の超電導線は、中心ソレノイド(CS)モジュールの全コイル(6個)に使用されるほか、ポロイダル磁場(PF)コイルの約3分の1にも使用されます。
ダイバータ・トカマク・テスト施設は、イタリア・フラスカティ(ローマ)にあるイタリアENEA(国立新技術・エネルギー・持続的経済開発機関)フラスカティ研究センターに建設されている、6T(テスラ)、5.5MA(プラズマ電流)の超伝導トカマクです。 2050年までの核融合エネルギーの実現と原型炉の実現に向けた欧州のロードマップの一環として、DTT施設では、核融合発電所のダイバータで予想される大きな負荷に耐えられる排熱システムの開発に焦点が当てられます。
現在、核融合は、大規模かつ安全で、環境に優しく、事実上無限のエネルギー源を確保するための選択肢の一つとして考えられています。核融合の利点としては、燃料が豊富であること、公害や温室効果がないことなどが挙げられます。 その一方で、核融合の燃料は、太陽核の20倍の温度である約2億度まで加熱されるため、核融合エネルギーの実現への課題となっています。
最初の1,600万ドルのDTT契約の一環として、Luvata社は、全CSモジュール・コイルとPFコイルの約30%の製造用に、次世代核融合の最新技術であるクロムメッキNb3Sn線を22トン供給します。Nb3Sn超電導線は、ACロスを最小限に抑えながら高い通電性を実現しています。この非常に複雑な複合フィラメント電導線は、優れた熱制御と安定した超電導性を可能にします。
2度目の250万ドルの契約では、Luvata社は、31トンのクロムメッキ銅線と23トンのニッケルメッキ銅線を供給します。 54トンのメッキ銅線は、CS、PF、TFコイルを含むすべてのコイル構成用ケーブル・イン・コンジット導体(CICC)の製造に使用されます。 両契約に基づく納入は、2022年に完了する予定です。
「Luvata社は、50年近くにわたって超電導線の開発に携わり、CERN、KSTAR、ITERなど、世界中の数多くの権威あるプロジェクトに貢献してきました」と、Luvata社超電導線事業部門 Executive Vice PresidentのAntti Kilpinenは述べています。「当社には、高度に洗練された超電導材料を製造し、世界中の多くの場所にオンタイムで納入するという長年の経験があります。核融合エネルギーの実現に一歩近づくためのこのユニークなプロジェクトで、当社の超電導に関する専門知識を提供する機会を与えて頂いたDTTに感謝します。」
Luvata(ルバタ)グループの超電導線事業は、4つの超電導体材料製造拠点(米国コネチカット州ウォーターベリー、同ブランフォード、フィンランド・ポリ、中国・中山)で構成されています。Luvata(ルバタ)グループは、MRI(磁気共鳴画像装置)に使用される超電導線の世界的トップメーカーです。